「建物の基礎」というとあまり耳馴染みがないかもしれませんが、「住宅などの外壁下部、コンクリートの部分」と聞くとピンと来る方が多いと思います。
この部分を基礎と言い、建築物を支え地盤に定着させる役割があります。
建物の居住部分と地盤面の間にあるコンクリートなどで作られていて、家の荷重を地盤に均一に伝えるための構造です。(図1)
その中でも今回は安定した土地に直接工事を行う「直接基礎」、その中でも多く採用されている「布基礎」、「ベタ基礎」についてご紹介します。
「ベタ基礎」ってどんな基礎?
土に接する面から、割栗石・捨てコン・防湿シート・鉄筋を封入した基礎部分(厚さ150ミリ以上)・壁などを支える立ち上がり部分(高さ400ミリ程)というのがベタ基礎の基本的な構造です。(図2)
家の荷重を底板全体で受け止め、面で支えます。また、地面をコンクリートで覆うので、地面から上がってくる湿気を防ぎ、シロアリの侵入も防ぎます。
さらに、不同沈下にも強いとされていること、施工の手間がさほど必要ではないことからも採用されやすい方法です。
一方、家の建つほとんどの部分をコンクリートの面で支えることから、必然的にコンクリートの量が増え、資材コストが下記に挙げる布基礎よりも高くなることが多くなります。
「布基礎」ってどんな基礎?
それに対して、家の外周部分や、壁や柱が入る部分を中心に支える基礎を布基礎と言います。(図3)
現在はベタ基礎が主流ではありますが、地盤がしっかりしている土地、丁寧に地盤改良がおこなわれている土地であれば、布基礎を提案されることがあるかもしれません。
ベタ基礎と違う部分は、地面全体をがっちりとコンクリートで抑えてしまうかどうかだけです。
湿気については防湿シートや押さえコンクリートを使用するため、さほど神経質にならずとも大丈夫ですが、不安な場合は住宅会社に相談してみると良いでしょう。
また、資材の面でコスト高になりやすいベタ基礎に比べ、布基礎は資材を最小限に留めることができますが、手間の面の人件費でコストがかかるとされています。
基礎、どう選ぶの?
近年、ほとんどの住宅がベタ基礎を採用しています。
ベタ基礎は不同沈下を起こさないと言われていますが、ベタ基礎を採用していても、敷地全体の地耐力が均一でない場合は不同沈下が起こる可能性が充分にあります。
また、ベタ基礎は布基礎に比べ地盤への荷重が掛かるため、地盤が軟弱な場合や構造計算のやり方によっては布基礎の方が有利な場合も出てきます。
さらに、ベタ基礎は一般的に立ち上がりの高さが45センチまでですが、布基礎は65センチほどなので、上からの荷重に対抗するのに有利なのは布基礎です。
そのため、鉄骨系のプレハブ住宅では、ベタ基礎ではなく布基礎を採用しています。
地盤改良を含む基礎と建物はとても密接な関係にあるため、基礎の決定には、地盤と家の荷重とのバランスが大切です。
建築基準法では建物の自重に応じた基礎を設計するように定められているため、基礎の選定は問題なく行われることが多いです。
しかし、基礎を大切にしたい意向を相談することも、心できる家づくりの1つのポイントになるのではないでしょうか?