耐力壁って?
住宅を建てる際、地震や風などの横からの力に抵抗する能力を持つ壁を「耐力壁」と言います。
耐力壁は、四角形を基本として、角を固めるように配置します。
四角形が組み合わさっていると考え、部屋がつながっている場合は L字形の耐力壁も、図1のように1つにまとめます。
耐力壁の上下不揃いで何が起きるの?
この耐力壁や柱は、力を均等に伝えるために半分以上を合わせるのが昔からの常識として考えられていました。
しかし、現在では1階と2階の平面図を重ね合わせて見たときに2階の柱や壁の下にそれを支える柱や壁が存在しない住宅が非常に多く、むしろそのケースが主流になろうとしていて問題視されています。
また、1階と2階の柱や壁の位置がつながっている割合を「直下率」と言い、建物の構造的なバランスを評価するために重要な指標として使われています。
直下率について建築基準法や住宅性能表示制度に規定はありませんが、直下率が低いと耐力壁が性能を発揮することができなくなってしまいます。
さらに、柱の直下率が50%を下回ると、横架材がたわみ2階の床に歪みなどが発生する割合が3倍以上に高まるという調査結果もあります。
他にも、壁や柱の不一致により重心と剛心にズレが生じるため、地震の揺れが加わったときに建物がねじれてしまう、バランスの悪い建物になってしまいます。
せっかく壁量計算で偏芯率や壁量を確認しても、前提条件が崩れた間取りでは性能が十分に発揮できなくなります。配置した耐震壁を有効に作用させることで、地震時のダメージに耐えられる住宅を建設することができます。
なぜ設計の基本が守られず、バランスの悪い間取りが量産されるのでしょうか?
それは、建物全体としての構造を確認せず、営業担当者と施主との打ち合わせで1階と2階の間取りをそれぞれ別々に決め、そのまま進めてしまうケースが多いからかもしれません。
また、木造建築は自由な間取りが可能というイメージが影響している可能性もあります。
永く暮らし、家族を守るのが住宅の役目です。
信頼できる営業担当者と、間取りを検討する段階で壁や柱の位置の重なりをチェックすることが地震に強い家づくりにつながります。