家を建てた後で後悔しない耐震住宅を選ぶなら知っておきたいのが構造計算についての基礎知識。「専門的な内容のためインターネットで調べてもよく分からない」「検討中の工務店で聞いてみたけど、担当者もよく分かっていなかった」という方に向けて詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
構造計算とは?
建物には自重があるため地震や台風などの自然災害が起こった際、それに耐えられるだけの強度が必要となってきます。端的にまとめると「重さが力としてどのように伝わり、その力に耐えるものとなっている建物か」を計算するのが構造計算となります。
構造計算の方法
では続いて構造計算は「どのような流れで何を計算していくのか」を先ほどよりも少し具体的に説明してみましょう。
1. 許容応力度計算
まず、構造計算をする上で行われるのが許容応力度計算。
①建物の重さを調べる
②人や物など建物の床に乗せるものの重さを調べる
③積雪した場合の屋根にかかる重さを調べる
④ ①~③の重さの合計を計算する
⑤建物に対して重さがどのように伝わるかを調べる
⑥伝わった重さに建物の材料が耐えられるかを調べる
⑦地震や台風が起こった際にかかる力を建物の重さから換算する
⑧地震や台風が起こった際に建物にかかる力を調べる
2. 許容応力度等計算
続いて、許容応力度計算を行います。
⑨地震や台風が起こった際に建物がどの程度傾くかを計算する
⑩建物の上下階のかたさバランスを調べる
⑪建物の重さと硬さが偏っていないか、バランスよく重さを支えられるかを調べる
3. 保有水平耐力計算
そして最後に行われるのが保有水平耐力計算です。
⑬大地震(震度6~7)が起きた際の力を建物の重さから、破壊する力を計算する
⑭建物が大地震によって瞬間的に大きく傾いたときに、どこまで粘り強く耐えられるかを調べる
木造住宅のほとんどが構造計算をされていないことをご存知ですか?
ここまでで耐震性能を重視する上で構造計算がとても重要であることは理解していただけたと思いますが、この構造計算、実は一般住宅においては木造2階建て・平屋建等の場合は必須ではないということを知っている方はほとんどいません。
2階建て以下の木造住宅には、十分な耐震性があることを裏づける「構造計算」ではなく、「壁量計算」といわれる簡単な計算と仕様を守ることだけを義務づけられており、その資料は建築の際に必要な確認申請の際には提出が免除されているのです。
「当社は建築基準法に沿って家を建てていますから大丈夫ですよ」とHPなどでも紹介している会社は多いですが、あくまでも法律に沿って建築をしているということであって、大地震が起こった際に本当に耐えられるかどうかを設計段階で計算していないということなのです。「家を建てるなら、なるべく耐震性能を重視したい」とお考えの方は構造計算が行われているかどうかを検討中の工務店やビルダーに確認してみましょう。