以前、耐力壁について、横からの力に対抗する能力を持つ壁とご紹介しました。
今回は建物の具体的な家の話を交えて、耐力壁のバランスについてご説明します。
耐力壁が偏るとどうなるの?
以前のコラムの通り、上下階で壁の位置を揃えることは大切です。
しかし、揃っているだけでなく、全体から見た耐力壁の配置バランスも重要です。
2000年以前の新耐震基準で家を建て、自分で間取りを決めて大工の忠告にあまり耳を傾けず、不安を感じていると語る人がいます。
南側に大きな窓を作りたいという施主の希望は叶ったが、やはり大工の忠告は気になるもの。調べてみるとやはり南側には耐力壁が足りず、北側に耐力壁がまとまっていたそうです。
他にも地盤や基礎、筋かいの状態、金物、壁のバランスなどを調査した結果、この家の剛心はかなり北側に寄っていて、倒壊する可能性が高いことがわかりました。
そこで、南側の既存壁の耐力をあげると同時に、中央部に新たな耐力壁を設けるなどの改修をしました。
保有耐力と壁のバランスの改善で、全体のバランスを確保することができました。
耐力壁のバランスってどう考えるの?
耐力壁のバランスの見方をご紹介します。
①まずは、四角形に分割して、各コーナーに耐力壁を配置します。
②次に、東西と南北の耐力壁のバランスを考えます。
東西は2ヵ所ずつ耐力壁が配置されているため、このままでバランスが取れています。
③南北のバランスを考えます。
北側の耐力壁の個数が2ヵ所(×印の部分)多いので削除します。
これで南北方向のバランスが取れました。
④これで完成です。
耐力壁は数が多ければ丈夫というわけではなく、バランスよく配置することが大切です。
また、窓やドアにより壁のない部分は、その辺の3/4の長さにすると安全です。
開口部分は耐力壁になり得ないので、調整が必要です。
窓の高さに関係なく、開口部の上下のスペースは耐力壁として考えません。
マイホームを持つにあたって、お一人お一人に希望の間取りがあると思います。
耐力壁の位置についても、信頼できる住宅会社と相談して決めていくことをオススメします。