コラム

多くの被害の原因は?熊本地震で考える耐震住宅の課題

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以前のコラムで耐震等級についてご説明しました。

3段階に分かれている耐震等級の中で、等級1と建築基準法は同じ強さです。等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の地震力に対抗できる程度のものになるというものです。

2000年以降の新耐震基準になってから完成した木造住宅でも2016年の熊本地震で壊れてしまい、被災地に入った多くの研究者が驚きの声をあげています。

今回は、その基準の中で多くの住宅が倒壊という結果になった理由を考えていきます。

 

住宅の構造を強化する「筋かい」って?

熊本県益城町の住宅約200棟のうち約1割が、2000年以降の新耐震基準に基づいて建てられたものでした。

しかし、それにもかかわらず、うち3〜4割が倒壊・大破していました。

その壊れ方の中で印象的なのが、筋かいが破壊されているものが多く見られたことです。

 

筋かいとは、柱と柱の間に斜めに入れて建築物の構造を補強する部材のことです。(図1)

筋かい 

       (図1)

 

1950年に制定された建築基準法では最低限設けなければならない筋かいの「量」 についても基準が設けられましたが、しばらくは筋かいの数が不足しているという欠陥が後を絶ちませんでした。

そんな中、1995年1月17 日に発生した阪神・淡路大震災により6,400人あまりのうち、多くが自宅の倒壊・崩壊によって犠牲になりました。そのうち木造住宅の倒壊などの大半の原因が、耐力壁の数量不足や取付不良など、筋かいにかかわる問題によるものと言われています。

それまで不徹底な部分があった筋かいに関するルールですが、この震災の影響で筋かいの量などに具体的なルールが設けられるようになりました。

 

接合部が粘るより先に筋かい材が破壊するのは、建物の倒壊に直結するため非常に危険です。

それでも今回の熊本地震では筋かいが中間で折れてしまっていたり、端部金物から抜け出したりしている様子が多く見られました。

それは、地震で面材が破損したことで、押さえ効果がなくなったためと考えられています。

 

他に熊本地震で見つかった問題は?

熊本地震では、他に大きく2つの問題点が挙げられました。

1つめは、大きな柱が引き抜かれることが多くあったことです。

その原因として、外装材に使用する重い板を考慮せず計算していた可能性があります。

連続する地震に耐えるためには耐震等級2や3の設計が必要になりますが、本震だけの揺れで3〜4割もの住宅が倒壊してしまう結果になるということは、設計をしっかり描くことが必要ということになります。

 

2つめは、告示や計算に適合しない不適切な金物選定や、耐力壁の施行があったことです。

ある建物では柱が金物ごと多数引き抜けて倒壊に至っていました。

家の基礎は健全な状態のままだったことから、引き抜き力が基礎に伝わっていなかったことがわかります。

はじめに計算された地震の引き抜き力に対応していない金物が採用されたことで、このような事態につながったと考えられます。

 

「新耐震等級」は改定されている? 以前の問題点とは

新耐震基準と一言で言っても1981年に作られた基準が2000年に改定されています。(図2)

 新耐震基準

       (図2)

 

その間に完成した熊本被災地の住宅を調査したところ、約100棟のうち60〜70%が倒壊・大破していました。

その時の耐震基準には接合部と壁の配置バランスに関する具体的な規定がなかったため、施工者や設計者によってズレがあったことが原因と言えるでしょう。

以前、この時期の耐震基準で作られた住宅約1万棟の接合部を調べたところ、65%がクギ止め程度の施行になっていました。

「新耐震基準」の住宅でも、特に2000年以前のものは接合部の耐震補強が必要な建物があり、その早急な対策が必要と言えます。

 

地震に対する耐震の考え方は、地震大国日本で随時新しいものが作られ続けてきました。

地震の被害を受けたときは、私たちが住宅のあり方を見直す機会でもあるのです。

新築も既築も、地震に耐えられる家づくりをしていくことが必要です。

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